コメント欄の続き。
http://d.hatena.ne.jp/buyobuyo/20070827#p1
年収が高い家庭のほうが有名大学に進学する率が高いというものは、動かしがたい現実だ。東大進学者の家庭の平均年収は1000万円を超えていることは有名な話だ。平均だからなんだという言い訳はできない、なにしろ家計支持者の年収が「950万円以上」の世帯は約50%もあるのだ。
buyobuyo 『東大に入学させるまでのコストは一般的には底辺私立大学に入学させるコストよりかかります。(もちろん子どもの能力とコストは負の相関がありますが)そこで金の問題が出てくるのです。』
(中略)
buyobuyo 『東大入学者の出身校ランキングを調べてください。この現実を無視することはどうかと思います。伝わりにくいのではなく、あなたは家庭の収入という要因を軽視しすぎているのです。(後略)
普通に考えて、東大生の親の年収が多い原因としては、
「東大に入るにはべらぼうなコストがかかるから、年収の高い親でなければ子どもを東大に入れられない」という因果関係のほか、
- 学歴が高い親の年収は多い。
- 学歴が高い親の子の学力は高い。
- 結果として、学歴が高い親の子が東大に入るケースが多い。
という因果関係もあり得ます。
もちろんどっちかが100%ということはなく混じりあっているのでしょうが、「東大に入るにはべらぼうなコストがかかるから、年収の高い親でなければ子どもを東大に入れられない」という要因が主であると主張するのなら、東大に入るには具体的にどんなコストがかかるのか説明してほしいわけです。何しろ東大は国立大であり、授業料自体は、そのへんの底辺私立大学より安いわけですから。
また、有名私立高校の卒業生が東大に入る率が高い、というのは、そもそもそんな高校は入学の時点で難しい試験を課しているのだから当たり前の話です。
もちろん、有名私立高校は、Paul Grahamが言うように*1、東大の入試プロセスをハックする何らかのテクニックを伝授してくれるのかもしれませんが、そんな裏技があるんならなぜ流出しないのかが不思議です。有名私立高校に行ったほうが学力が伸びるのだとすれば、その大部分は、「できる奴らだけが隔離されている空間だから」でしょう(その分授業で高度な内容を扱うことができる、というのを含め)。
ていうかね、私は、歩いて通えるような近所の公立小中高校を出て、地元の一応旧帝大に親の金で通わせてもらったわけです。ことこの点については、私は十分恵まれた環境であったと両親に感謝しているわけですが、buyobuyoさん的には、私は一流私立高校に通わせてもらえなかったばかりにもっと良い大学に行けなかったかわいそうな子なんでしょうか。私みたいなのも、(返さなくてよい)奨学金でフォローしてもらって下宿して開成高校にでも通うべき存在だったんでしょうか。
ところで、「学歴が高い親の子の学力は高い」についてですが、
2007-08-28 - Will You Please Be Quiet, Please?
kmaebashi 『すみません、おっしゃることの意味がよくわかりません。
私の挙げた「貧乏人のイメージ」について、
(1)そんな奴はいないよ(いたとしても誤差の範囲)
(2)そんな奴はいるかもしれんが、本当の貧乏人じゃないよ
のどちらでしょうか? あるいはそれ以外?(1)ならともかく、(2)についてであれば、私は、意図してそういう例を書いているのですけど。
こういう人たちは、金銭的には「本当の貧乏」ではなさそうですが、子どもが大学に進む可能性は低そうに思いますので。』
(中略)
っていうか、kmaebashiさんの「貧乏人のイメージ」が、ステレオタイプ、それもネガティブなものだったので、引用させていただきました。たしかに私も(2)のイメージで受け取っていました。が、では何故そういう人たちの子供が大学へ進む可能性が低そうと思われるのでしょう?』
私が挙げた「ネガティブな貧乏人のイメージ」のような親じゃ、そもそも子どもに本を読ませたりしなさそうだし、勉強の面白さを伝えることもできなさそうです。家に本棚がないとすればこれはそれこそ決定的な格差ですし、小学生の頃からの環境の差ですから、仮に大学に入る時点でふんだんに奨学金がもらえるとなっても、それだけの学力も、そんな気もない、ということになっていそうです。
もちろん私は、進学したい意志も能力もあるのに親の経済的な理由で進学できない子どもには、手厚いサポートがあってしかるべきだと思います。国立大の授業料なんてタダ同然でいいんじゃないかと思う*2。ていうかコレ、常軌を逸した値上がりっぷりです。ふたつ上の兄と私とで、すでに1.2倍に値上がりしてましたし、私の在学中にまた上がったもんな。
でも、「格差が世代を超えて固定する」というのが真であるとするなら、それは、「所得の格差が世代を超えて固定する」のではなく「学歴の格差が世代を超えて固定する」要因の方がたぶん大きいと思うんですよ。
……と言いつつ具体的な統計は私も持ってないんですが、
上のこのページを書いた人は社会学者で関連する本も出してるようですから、このへんの本でも読めば統計的な情報もあるのかもしれません(読んでみるかな)。
『PRESIDENT』2006.5.15号のアンケート結果とやらも参考になるのかな。
「子供の学歴が親の収入で決まるというのは、ちょっと飛躍した考え方だと思いますね。妻も大学職員で共働き。車はずっと軽自動車。特に家族旅行したこともありません。本は思うように買ってあげましたが、ゲームやマンガなどは我慢させました。教育費が苦しいと言う人の家にはゲームがあったり、高級自動車があったりするものです。ウチはともかく、なんとかやりくりして子供たちの教育にお金を掛けました」